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ナビロフト閉鎖のご案内

 1994年の開設以来、最初は劇団アトリエとして、2003年以降は独立した小劇場として活動をして来たナビロフトですが、4月10日(土)、11日(日)に開催する自主企画「INDEPENDENT:NGY20」をもちまして閉鎖する運びとなりましたので、ここにご案内申し上げます。

 

【コロナ禍について】多くの劇場がそうであるように、ナビロフトもコロナ禍の影響を大きく受けました。2020年4月以降の劇場公演稼働率は激減し、同年12月までの公演数は4公演のみにとどまりました。2021年に入ってからは劇場利用回復の兆しが見られましたが、第二次緊急事態宣言発令に伴い、多くの公演利用がキャンセルとなり、結果、2020年度の公演利用稼働率は8公演となりました。例年、ナビロフトの年間公演稼働は30公演ほどあり、それでギリギリの維持が可能でした。

 

【救済基金について】ナビロフトの維持経費は、人件費を除く家賃・光熱費・事務費などで毎月約30万円ほどが必要となります。2020年4月の第一次緊急事態宣言発令に伴い、ナビロフトの利用稼働がゼロに落ち込み、同年夏以降の維持費捻出が絶望的な状況に陥りました。2020年6月、私たちはナビロフト救済基金を立ち上げ、また、全国小劇場ネットワーク、小劇場エイドによるクラウドファンディングにも参加し、多くの皆様からのご支援を仰ぎました。おかげさまで、約300万円ほどがナビロフト維持経費に当てられることになり、いくつかの公演利用もあったため、年度内の劇場維持が可能となりました。ご支援いただいた皆様にはこの場をお借りし、改めて深く感謝申し上げます。

 

【立地について】救済基金など、多くの皆様のご支援により、1年間のナビロフト延命が可能となり、今後、コロナ禍の中での公演実施を模索しつつ、劇場運営を続けていくつもりでいた2020年夏の終わり頃、保健所から衛生設備面についての問い合わせがありました。同時に、ナビロフトのある地域は、第一種住居地域に当たると思われるため、名古屋市住宅都市局に確認するよう指導がありました。住宅都市局へ問い合わせたところ、確かに第一種住居地域に当たるため、そこでの興行(劇場運営)は基本的にNGとの通達を受けました。1994年より27年間、この地で活動してきたナビロフトですが、貸し館を主体とした、いわゆる「劇場」というよりは、地域交流や人材育成、舞台芸術における環境整備などを行うアートスペースである旨を持ち、幾度も住宅都市局に足を運び交渉を重ねましたが、結果、月に四日間の興行(公演)ならば認められるとの回答となりました。

 

【閉鎖の決断について】多くの皆様にご利用いただき、地域の文化拠点を目指してきたナビロフト閉鎖をなんとしても避けるべく、月四日間の興行(公演)を前提とし、様々な劇場維持運営の方法を模索しましたが、ただでさえ自転車操業であるナビロフト運営継続は困難であり、受け入れ難い事実でしたが、諦めざるを得ない状況となりました。コロナ禍における劇場維持に多くの皆様からご支援をいただきながら閉鎖の決断を下すのは苦しい決断でしたが、これ以上の運営継続は不可能と判断せざるを得ませんでした。

 

【演劇関係者・演劇ファンの皆様へ】ナビロフトは、他地域も含め、多くのアーティストの皆様にご利用いただいていました。常打小屋としてご利用いただいている劇団もありました。今後、この場を提供できなくなることを大変申し訳なく思います。多くのお客様にも足をお運びいただき、設備面も含め、多くの皆様に維持運営のご協力をいただきました。ナビロフトは、多くの皆様に支えられて現在があります。劇場は、在るのではなく、成るのだと、日々運営をしながら強く想い続けていました。これまで、ご利用、ご来場、ご支援、ご協力いただいた皆様、そして、ナビロフトに関わっていただいた全ての皆様に深く感謝申し上げます。継続が叶わず、申し訳ありません。また、諸事情により、閉鎖のご報告が遅れたことをお詫び申し上げます。

 

【今後について】ナビロフトの今後は、いくつかの劇団利用の後、4月10日(土)・11日(日)の自主企画「INDEPENDENT:NGY20」にて活動休止となります。劇場の建物は賃貸物件ですので、4月後半〜5月末にかけ、劇場設備解体作業を行い、大家さんへ返却となります。そして、可能であれば、新しい場所を探し、新生ナビロフトを開設できればと考えています。とは言え、コロナ禍収束が不透明な現在、すぐにとは行かないと思いますし、劇場として適当な物件は簡単には見つからないと思います。一から劇場を立ち上げるのは、膨大なエネルギーも必要となるでしょう。ナビロフトはこれまで、地域の文化拠点としての劇場の役割を考え、様々な自主企画を行ってきました。その理念を持ち、新しい場所での、新しい形での再出発の可能性を探ることができればと考えています。「ナビロフト」名義と企画チーム「Loft Plan」は存続し、場所を持たない間にも、少しずつでも事業実施を模索できればと思います。

 

【最後に】プロジェクト・ナビのアトリエ時代から現在まで、この地で活動してきた27年の間、大変にお世話になりました。ナビロフトを愛してくださった皆様、ありがとうございました。継続が叶わず、申し訳ありません。全ての皆様に感謝申し上げます。ご報告が遅れたことを重ねてお詫び申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

2021年3月23日

ナビロフト劇場プロデューサー・小熊ヒデジ

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